和紅茶を味わう皆さんが、じわりと増えています。
インド周辺や、それらの素材を使った海外製のものとは異なり、友野園の和紅茶は、渋みがほどよく淡くて、それを好まれる方々も多いからでしょうか。となると、和食や、日本の食卓に定着した洋食にも、和紅茶はとても相性よく、食後ばかりでなく、食事の間の飲み物としても、どうやら落ち着きがよいようです。
狭山の自然環境で育った、紅茶に仕立てるのに最適な、選ばれた樹種から作った紅茶なのですから、そのように味わえるのだと思います。
さて我が家には、お茶を飲んだり淹れたりするための種々の茶器があって、気分や時間帯や、飲むお茶の種類によっても使い分けていて、それも楽しみです。すると不思議なことに、器によってお茶の味が微妙に違って感じられるような気もして、そういうことも面白みのひとつとして、また、味覚の研鑚の機会としても捉えています。
和紅茶だから、と、意識するわけでもないのですが、紅茶を味わう際には、日本製のティーカップを用いることもしばしばです。とくに、オールドノリタケといわれ、明治時代から戦前にかけて海外に輸出されたものが、里帰りして来たノリタケ製のアンティーク・カップを用いて味わってみることが、時々あります。
今日は、明治の終わり頃から大正年間にかけて輸出されていたノリタケに、熱い紅茶を注ぎ入れ、久しぶりにゆったりとした時を過ごしました。この頃の裏印(器に焼付けられたロゴマーク)は、収集家からライジング・サンとの愛称で呼ばれ、昇る朝陽をモチーフとしています。年のはじまりのこの時期には、ちょうどいいのかもしれませんね。
それに、カップに注がれた当園自慢の紅茶の色も、初陽の出のように紅く映えて揺れていて、この一杯の味わいもなお深く、格別なものでした。