時々、書棚から取り出して、ぱらぱらと開く本があります。
そのなかの一冊、「茶の話」を著した陳舜臣さんは、……喉が渇けば水を飲めばよく、茶を飲むのは、渇きをいやすだけでなく、それ以上のものを求めたはずだ、といいます。なるほど、そうかも知れません。また、……水と違ってお茶は、飲むまでに、ずいぶんと手間をかけなければならない、から、と、続けています。
では、先人たちはお茶に、なにを求めていたのでしょうか。
古く鎌倉時代、明菴栄西(みょうあん・えいさい 1141−1215)禅師は、「喫茶養生記」を残しました。宋(中国)から日本に茶の種子を持ち帰って広め、日本における茶の始祖といわれ、日本の臨済宗の開祖としても知られる高僧です。
そのなかで栄西は、茶は、養生の仙薬なり、延齢の妙術なり、といって、喫茶の薬効を述べています。いわば「薬茶同源」というのです。それに漢方では、冷えは万病の元とされ、体を冷やすような飲食物は、なるべく摂らないようにと避けられたりもします。
キーンと冷えた冷茶ももちろん喉に心地よくウマいのですが、こんな暑い夏だからこそ、夕食の後には、一杯の温かい和紅茶が、体に沁みて、なお美味いと感じるものです。
友野園の作る和紅茶は、各ご家庭で日常的に食べられている和洋食に、よくマッチする味わいだと好評です。団らんの、ゆったりと寛(くつろ)ぐための食後の紅茶なら、漢方の教え通りに消化器官に優しく、食味を整えられるホットが、断然、美味しいです。
カップに拡がる色は、狭山丘陵に沈む夕陽にとてもよく似ています。
眺めて美しいばかりではなく、茶葉を精選し、適時適確な発酵と、細心の工程を経て作っていますから、ほんわりと柔らかな甘い香りをまとい、狭山の和紅茶本来の、自然な味わい深さが感じられるはずです。
渋みや個性は際立たないよう控えめに仕立て、夏に熱々を飲んでいただいても、スッキリとしたアフターテイストが心地よく届くことでしょう。当園の茶葉の爽やかな印象が舌のうえに残って後を引き、熱いのをもう一杯、と思われるかも知れませんね。
暑中の候、夏にこそホットが美味い、今年の友野園の紅茶をゆっくりお愉しみ下さい。