さて、茶を淹れる前の、大事な要素は、もちろん茶葉と水である。
日本の山の湧き水などで淹れても、水質と茶葉の相性にもよるが、おおむね美味に出る。外国産のミネラル水は、硬水ならば適さない。水道水を使う場合は、かならず一度沸騰させ、カルキ臭を飛ばしてから用いるのが前提だ。ここだけは、キッチリと守った方がよいだろう。
[ポイント]
★適温(70~80度)は、自分で何度も淹れて、感覚をつかむ。冬場なら、湯気がまっすぐ、ゆったりと上がる感じ。
★基本的には、湯温が高ければ、渋みや香りがよく出て、低いと、うま味や甘みが引き出されやすい。新茶だと、やや低めの湯温がよい。
★一般的に狭山茶は、静岡や鹿児島、京都など他産地に較べて味がよい、とされるが、昨今では、香り、色とともに三拍子揃う。深入りの焙煎で、香ばしさも特徴。
★同じ茶の樹から収穫した葉で、日本茶、ウーロン茶などの中国茶、また紅茶も作れる。
[淹れ方]
1,湯を、汲み出し碗や湯呑みなどに入れ、冷ます。湯温は70~80度前後。適温は感覚で覚える。最悪は、薬缶やポットの熱い湯をいきなり茶葉に注ぎ掛けること。1人前の茶葉は小スプーン1杯程度、約2グラム。2人分だと約3グラムでちょうどよい。
2,湯温が高いと、香りが立ち、渋みも出る。低温だと、甘みとうま味がしっかりと出る。好みにより、湯を70度前後まで冷ましてから急須に注ぎ、30秒ほど待つ。なお、急須を回したり、揺すったりする必要はなく、じっと静かに待つ。
3,人数分に応じて、数回に分け、各碗の湯量と濃さが整うように回し注ぐ。また注ぐ際には、茶葉を蒸らし過ぎないよう急須の蓋の空気穴を、指などでふさがないよう配慮する。碗の内側は、磁器などの白いものの方が、色映りがよい。
4,色や、香りを愉しみつつも、手際よく注ぐ。また2煎目の渋味が強くならないよう、1煎目は最後の1滴まで、しっかり落としておく。とくに新茶は、最後の1滴にもうま味と甘さが含まれており、苦みは少ない。美味い。