新茶

新茶

2021年 新茶の販売が始まりました。

茶の樹は、常緑の低小木です。1年を通して青々と葉を繁らせていて、そんな様子を眺めているだけで、とても清々しい気分になれるものです。

常磐樹といっても、真冬の、ほんのひと時だけは、茶の樹は寒さから身を守るために休眠し、植物としての更新活動が鈍ります。

そしてやがて、肌に感じる風が温かくなってくると、だんだん強まってくる陽射しを浴びながら、ゆっくりと目覚めてくる茶樹は、新芽を吹きはじめる準備を整え、いっせいに葉を拡げようと、静かに息を凝らして待っています。

こうして冬の試練を越えて来た樹々たちは、栄養をたらふく蓄え、柔らかな新葉からは、渋みも少なく、旨味をたっぷりと含んだ、美味いお茶が作れます。生産者にとっては、この時のために、茶畑での1年間の手作業が報われるといってもいいほどの、高鳴りがあります。

友野園では、例年、5月の上旬頃のことで、こうして一番茶の季節を迎えます。いよいよ新茶のシーズンが、やって来ました。

摘み終えたばかりの一番茶の茶葉は、早速、加工場へと運ばれて、新茶が作られます。工場全体には、新茶の芳香と熱気が混じりあって漂い、そこには収穫の喜びと興奮、それに緊張すらも加わって、友野園の最も充実した繁忙期です。

歳時記には、茶摘みや八十八夜は、春の季語とされ、ところが新茶は、夏の季語に分けられています。確かに、新茶作りがひと段落する頃には、少しだけ暑さを感じることが、時々、ありますから。

今年も、茶の樹に感謝をしました。爽やかさのなかに、甘さと旨味がくっきりと感じられる、とてもいい一番茶に仕上がりました。……どうぞ、お召し上がり下さい。