日本生まれの和紅茶は、いよいよ地歩を固めて、一般のご家庭でも日常的に飲まれて、味の違いを愉しまれる方々も増し、当園でも、近年の裾野の拡がりに手応えを感じています。
和紅茶なりの、海外産の紅茶とは異なる風情としての、味わいや香りがあるからこそ、そのような和紅茶としてのテリトリーを確保したのだと思われます。
……繰り返しになりますが、「和紅茶」とは、日本産の茶葉から作られた紅茶です。
日本の緑茶も、海外の紅茶や中国産の烏龍茶なども、原料となる茶葉は、すべて同じものなのです。摘み取った茶葉を完全発酵させて製造すれば、紅茶に仕上がります。もちろん、ここ狭山の地にある友野園においても、だから美味しい「和紅茶」が作れるのです。
当然ながら、紅茶としての味わいは、茶樹が育つ気候風土も、海外産紅茶とは異なったものとして愉しめ、当園でも、独自の味わいが残るようにと工夫と研鑽を積んでいます。なかでも、一昨年より導入した、2次発酵後の発酵止め機がいよいよ定まり、高次に安定した品質の紅茶を作り続けられるようになったのが、皆さま方に高評価をいただける理由のひとつかと思っております。
つい先日も、紅茶の審査などされている専門家の先生に、友野園の紅茶を味わっていただき、感想を求めましたところ、現在のままでよい、とのお墨付きをいただいた次第です。
6月に入ってから、いよいよ本格的に紅茶の製造をはじめ、これから佳境を迎えようとしています。
和紅茶の特徴としては、渋みが抑えられていて、まろやかな味わいが得られます。そのために、砂糖もミルクも加えずに、友野園の和紅茶を、まずはストレートでお愉しみ下さい。混じりっけなしの、当園で育った緑茶品種のみを用いて製造しており、今年度産は、ことに格別な甘さが伴って感じられ、また、なんとも柔らかな紅茶独特の香りが引き出され、それらが、控えめに、じわりと静かに伝わってくるはずです。
こんな性質の和紅茶であるだけに、お茶請けとしては、マフィンやスコーン、レーズンサンドなどの洋風のお菓子ばかりでなく、たとえば、芋ようかんや栗鹿の子などの和菓子にも、とてもよく合うのだとかいわれ、大いに喜ばれています。
……思い起こせば、昨年の友野園の和紅茶は早々に売り切れてしまい、実に多くの皆さまからご贔屓をいただきました。本年も、変わらずにご期待に応えられるよう、緩めずに手作業を続けておりますので、どうぞご賞味下さい。