新茶の作柄予想

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さわさわと春の暖かい風がそよぎ吹き、茶の若い葉が揺られ、輝いています。心地よい季節です。寒さを越え、今年も初々しい茶葉が健やかに、艶やかに育っていて、もうすぐそこに、新茶のシーズンが近づいてきました。

これら樹々の姿や葉の伸張からして、本年の友野園の作柄予想としましては、昨年より新茶の生育はやや遅れ気味、といっていいかと思われます。

また、狭山茶エリアでは、例年、春期の雨は少ないのですが、今年は雨の降る日も多く、そのことは肥料の吸収に期待が持てることにつながります。いつも通りの内質、つまり香りも水色も、そして爽やかに、味わい深いお茶に仕上がるように、この時季の栽培管理には、とりわけ細心の配慮をしています。

さて、「茶寿」という、ちょっと聞き慣れない言葉があります。

還暦や古希などと同じように、年齢の呼び名のひとつです。白寿は、百にひとつ足らない99歳、同様に、茶の字を分解し、草冠の十と十(20)に、その下にある八十八(88)を加え、茶寿は108歳を祝う年齢の名称なのだとか。

まるで海のように拡がったこの時節に独特な、活き活きと沸き立つ茶園全体を眺めていると、ふと、代々の友野園当主たちの日々の作業の苦心や工夫、希望などへと想像が至り、かつての時がよみがえるようでもあります。そんなふうに感じると、茶の樹を慈しむことを、茶寿といってもいいのかな、などと、古稀に近づく私は思うのです。

今は、新茶を摘む直前の、特別な緊張と期待に、静かに心を躍らせています。

畝を渡る風のなかに、気のせいなのでしょうが、淹れたてのお茶の、よい香りがしたかのように感じました。今年も、きっと美味いお茶に仕上げようと、高ぶっています。

八十八夜が近づいてきました。友野園では、家族総出でヤル気充分です。どうぞご期待下さい。