はじめの一服

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狭山一帯の丘には、霜の降りる朝もあって、暖冬予測があるとはいっても、ここのところの時節柄らしく、冷え込んできました。

もちろん茶樹にとって、寒さはありがたいものではありません。とくに茶の生産地として北方にある狭山の地においては、なおさらです。それでも健気に、じっとこの寒さを堪え忍んだ茶葉は、そのお陰もあって、旨味をぎゅっと蓄えることにもなるのですから、なんとも皮肉なものです。

寒い日の朝には、一番にまず湯を沸かします。

淹れたての緑茶や、和紅茶のサーバーからは、しばらくの間、ゆらゆらと湯気が立ち昇っていて、やがて薄い筋のようになっていきます。その様子を眺めているだけでも、気分が落ち着くようです。

揺れる湯気の辺りに口を近づけると、ほのかな温みのなかに、確かな茶の香気が感じられたりして、このお茶の美味さに、ことさら深く気づかされたようで嬉しくなります。

そして空気が冷え込んだそんな朝の、はじめの一服は、染み渡るように、お茶の味がすーっと拡がって感じられるものです。

地元・埼玉生まれの品種「オクハルカ」の幼木は、寒さ避けの作業をすっかり終えました。

本年も友野園では、皆さま方が団らんで、ともに飲み、味わい、愉しんでいただけるお茶作りの労に、惜しみなく励みたいと思っております。どうか、変わらずのご贔屓をお願いいたします。